賢人船橋が見据える「日本の未来」と「勝ち筋」

朝日新聞の特派員だったころから、船橋さんの先を見る目には定評がありましたが、色々と公職のみに絞っている昨今もそれは健在のようです。聞き手の千鶴さんは確か私と同い年ぐらいで、この長ったらしい名称の組織のトップ。彼女の旦那さんは川上さん@ドワンゴ・KADOKAWAという強力カップルです。私の前の職場の仲良しのいまの上司でもあります。

https://toyokeizai.net/articles/-/418764

【政府だけではなく、企業、大学、メディアなどもそうですが、日本は本当に検証することが苦手な国だとつくづく感じます。終身雇用や年功序列、お身内大事や多様性排除の組織の下での人間関係では、気遣い、気配り、忖度(そんたく)を含めた、情の濃いタテ社会型の組織文化ができあがります。第三者委員会を作っても、落としどころはどこあたりで……と忖度するところからスタートするようなアンバイです。これでは、クリティカルな検証は難しい。】

【ただ、「日本という国は検証ができない国だ」「それは日本の文化のせいだ」とは言いたくはありません。確かに組織文化の問題はあります、ガバナンスの課題もあります。】

【政治も行政もメディアも、「小さな安心」を安売りして、結果的には、「大きな安全」を損なうというわなにはまっています。】

【最大の敗因は、的確なデータをタイムリーに公にする行政文化の不在にあります。それがコロナ対応でまともな戦略が立てられなかった大きな要因でもあったし、日本の研究者が世界に十分貢献できなかった理由でもありました。日本が今回、十分な知的貢献ができなかったことは、とても残念でしたし、須賀さんがおっしゃったように「日本は先進国なのか?」という疑問を私も感じました。】

【日本には、これだけきちんと検証作業ができる人がいるのだと驚かされたんです。エビデンスベースで丁寧に議論ができる方、物事をロジカルに整理できる方、クリティカルシンキングを高い水準で身に付けていらっしゃる方というのが、実際には本当に多くいらっしゃいますし、仕組みさえ整っていれば、日本人もきちんとした検証作業を行えるのだということを強く感じました。】、【他方で、悲しかったことは、その検証を政府が十分に受け止められないということです。】

【コロナ下に社会がガラリと変わりつつある中で、グローバルでは、企業や組織のCEOやトップ層の方々が、これからの社会の動向を理解するために、とても熱心に勉強されていらっしゃったことが非常に印象的だったんです。世界経済フォーラムが主催するウェビナーにも、それぞれの組織のトップ級の方々が参加されて、自分は世の中をこう見ているとか、こういったところにリスクがあると思っているというようなことを積極的に意見交換されていました。ただ、そういった場にも、日本の方はほとんどいらっしゃらない。日本人の学び続けようとする意志の弱さを強く感じるんです。だからこそ、グローバルでの潮流がどのように変わっているのかということにも、1拍、2拍遅れて反応されてから動いている。】

【日本が国際会議を主催できなくなっている】、【グローバル化の中で、日本が沈んでしまったことを表す例はたくさんありますが、こういった大きな国際会議を主催できなくなっていることも、1つの例だと思います。自分たちの側から声を掛けて、こんな面白いアイデアがある、こんな面白い人たちがいると、そうやって国際社会を引っ張っていく力が、日本からはどんどん失われていきました。アジアでの国際会議の舞台は、上海や香港、シンガポールなどに移り、日本は、お客さんとして各国に出向いていくような形が常態化しています。】

【中国にはできないが、日本ではできることは何だろうかと、中国との差異について徹底的に考え抜くことが日本の戦略だと思います。】、【インドと一緒に、そして、アジアと一緒に、新たなフロンティアを開拓していこうという岡倉天心の夢のようなものでしょうか。そういえば、岡倉天心は『茶の本』の中で日本の魅力の1つは、”beautiful foolishness of things(遊び心)”といっています。消費と文化と人生における遊び心です。AIとアルゴリズムとロボットの時代では、これも日本の「勝ちすじ」かもしれません。】

【ASEANの国々の最近の調査を見ても、日本に対する安心感や信頼感は確固としています。先日も、あるウェビナーで、シンガポールの外交官が話していましたが、バイデン政権に替わって、これからアメリカにアジアへ戻ってきてもらいたい中で、ASEANが最も信頼できるパートナーは日本で、もう1つはオーストラリアだ、この2カ国しかないんだと言っていました。】

【それも自分たちだけで運用しようとするのではなく、アジアのほかの国と協力して運用していくことも考えられます。インドネシアでは、これから「ソブリン・ウェルス・ファンド」をつくるということで、ルフット投資担当調整大臣が日本に声をかけてくれています。おそらく、インドネシアは中国には声を掛けないと思います。チャイナマネーへの信頼はまだ低いからです。】

…いずれも、冷静な分析眼から紡ぎだされるオピニオンであり、一考の価値が十分にありますね。良いものを読みました。